投球時の肩の痛み‐野球肩の症状と原因、予防法
野球のボールを投げたときに肩が痛む。
投球動作によって引き起こされるスポーツ障害を、野球肩(やきゅうかた)といいます。
野球は子どもから大人までのスポーツ人口が多く、国民的なスポーツとして親しまれています。
しかし、投球動作とは肩関節にとても負担がかかっております。
野球をしている人であれば、痛みや違和感を覚えたことがある方は多いと思います。
我慢できる程度の痛みだったり、投げていくうちに痛みは軽減したりするなど、微細な筋肉の損傷があるにもかかわらず、投球を続けている人は多く存在します。
続けて投球していると知らず知らずに筋肉が断裂し投球ができなくなる恐れもあるため注意が必要です。
野球肩とは
野球肩とは、ボールを投げる動作に伴って肩関節周辺に発生する痛みの総称です。
投球障害肩ともいわれます。
野球の投手に多くみられる症状ですが、テニスやバレーボール、ハンドボール、やり投げなどの競技でも発症します。
野球肩の種類
野球肩とは、総称されていて、痛みの原因には、いくつかの種類があります。
1. インピンジメント症候群
上腕骨が肩峰や烏口突起などに衝突して、挟み込まれて炎症や損傷を起こす症状です。
肩よりも腕を高く上げる動作が繰り返されることで多く発症します。
肩を上げていくときに、ある一定の角度で痛みや引っ掛かりを感じ、それ以上腕を上げられなくなるのが特徴です。
2. 上腕骨骨端線離開
成長期の選手に多く発生します。リトルリーグショルダーとも呼ばれます。
成長期の骨は大人に比べて弱いため、使いすぎ(オーバーユース)により上腕骨の骨端線に離開が生じます。
放っておくと、成長障害が起こる可能性があります。
3. 腱板損傷
棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋の4つの筋肉の腱の部分が集合したものを回旋筋腱板(ローテーターカフ)といいます。
腱板損傷とは、上腕骨と肩峰の間で腱板が擦れたりして炎症を起こし損傷します。
4. 肩甲上神経損傷
フォロースルーの際に、腕を振り下ろす動作をしたときに、肩甲上神経が圧迫を受け、痛みや痺れ、疲労感などが生じる障害です。
野球肩の原因
野球肩の原因のほとんどは、肩の使いすぎ(オーバーユース)によるもの。
肩関節に投球動作での過剰なストレスがかかり続け、炎症や損傷が起こります。
肩のインナーマッスルや肩甲骨や背中、体幹・下半身の筋力不足、体幹や股関節の柔軟性低下、
投球フォーム不良などが原因のことが多く見られます。
投球時の痛みから始まって、悪化すると日常生活で少し肩を動かすだけでも痛みが走るようになります。
投球動作による肩関節の変化
投球動作は、肩関節を中心にした動きになります。
肩関節は、体の中で最も可動域が大きく、あらゆる方向へ自由自在に動かせる関節です。
そのため、たくさんの筋肉や靱帯が複雑に組み合わさった、繊細な構造をしています。
使いすぎ(オーバーユース)や悪いフォームで肩関節に過度の負担をかけ続けると、肩周りのインナーマッスルである回旋筋腱板や関節唇と呼ばれる軟骨に炎症や損傷をきたし、痛みを発症します。
肩関節周りのストレッチ
肩関節周辺の筋肉をストレッチすることで、肩甲骨の可動域が広がり、肩関節への負担が軽減されます。
野球肩の予防や改善のために日常的にストレッチをする習慣をつけましょう。
肩後方(三角筋、棘下筋)のストレッチ
肩甲骨を壁に固定したら、腕を水平に曲げて内側にねじります。
腕が下がらないよう注意しましょう。
広背筋のストレッチ
右肩を上げて、肘を曲げます。
もう片方の手を肘に添えて、からだを左へ曲げながら肘を左のほうへ引き寄せます。
骨盤を動かないように行いましょう。
肩関節を安定させるトレーニング
肩の回旋筋腱板(インナーマッスル)には、肩関節を安定させる働きがあります。
野球肩を防ぐためには、柔軟性も大事ですが、筋肉を鍛えることも重要です。
チューブなども使用し工夫して行いましょう。
インナーマッスル強化に効果的な自重トレーニング
- うつ伏せになって、腕を斜め前方に伸ばしてY字型になるようポジションをとります。
- 1の姿勢から親指を上に向けて、小刻みに肩甲骨を意識して肩甲骨を動かしましょう。
- 次は親指を下に向けた状態で小刻みに上下に動かしましょう。
- 親指上下20回×3セット行いましょう。
野球肩は再発しやすく、日頃からのセルフケアがとても大切です。
すでに痛みや違和感が発生している場合や悪化が感じられるときは、早めの受診をお願いします。