ランニング中の膝の痛み‐腸脛靱帯炎(ランナー膝)、他ランニングで起きやすい膝の疾患と原因など
ランニングをしていて膝が痛くなったことはありませんか。
健康思考でランニングを習慣化している人も多いと思います。
膝は体にかかる衝撃を吸収する大事な役割があり、ダメージを受けやすい部位でもあります。
ランナーに多いのは、腸脛靱帯炎(ちょうけいじんたいえん)。いわゆるランナー膝です。
その他にも、ランナーと関わりの深い疾患はいくつも存在します。
腸脛靭帯炎(ランナー膝)をはじめ、ランニングで起きやすい膝の痛みの原因とメカニズムをご紹介します。
膝関節の仕組み・役割
膝関節は、大腿骨(だいたいこつ)と脛骨(けいこつ)、腓骨(ひこつ)、膝蓋骨(しつがいこつ)で構成されます。
これらの骨は膝の曲げ伸ばしをする際に、体重を支える重要な役割を担っているのにもかかわらず、接合が浅く、不安定な状態にあります。
そのために安定した動きができるように半月板や靭帯で補っています。
ランニングなどのスポーツで同じ動作を繰り返すと、負担がかかり続け、膝周辺にある靭帯や筋肉、腱を過剰に使用することになり、炎症を起こして痛みなどの症状につながります。
腸脛靭帯炎(ランナー膝)とは?
ランニングにより発生しやすく、一番多くみられるのが腸脛靱帯炎(ランナー膝)です。
足を酷使し、負担がかかり続け、使いすぎ(オーバーユース)により、膝の外側にズキズキとした痛みを感じるのが特徴です。
特に、ランニングは、体重の3~5倍ほどの負荷がかかると言われているため、痛みが出やすいのです。
初期段階では、ランニング中の膝の外側の痛みで、休むと治まる程度です。
走っているうちに体が温まると痛みが落ち着くケースも多くあるようです。
症状が進行していくと、ランニング中以外にも痛みを感じるようになり、安静にしていても違和感を覚えます。
治療をせずに安静にしているだけだと、慢性化して日常生活にも支障をきたすことがあるので注意が必要です。
ランニング以外にも、他のスポーツでも多く発症します。
筋力が弱い、筋肉が硬い、O脚、足首が硬い、体重が重いなどが原因の一つと考えられます。
腸脛靭帯炎(ランナー膝)になる原因とメカニズム
腸脛靱帯は太ももの外側にある大きな靭帯のことをいいます。
膝関節の曲げ伸ばしをするたびに、大腿骨の外側にある骨の出っ張り(大腿骨外側上顆)の上を前後に動きます。
ランニングなどで膝の屈伸を繰り返すことにより、腸脛靱帯と大腿骨外側上顆が擦れ合い、摩擦が起こることで炎症が起こります。
腸脛靭帯炎(ランナー膝)が起こる原因として、使いすぎ(オーバーユース)、柔軟性の低下や筋力の低下、足関節の不安定感、O脚、ウォームアップ不足などが考えられます。
また、地面が硬いロードワークや下り坂や上り坂、硬いシューズとの関連性も指摘されています。
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ランニングで痛めやすい膝の疾患や原因
腸脛靭帯炎(ランナー膝)のほかにも、ランナーに起こりやすい膝の疾患をいくつか紹介します。
鵞足炎(がそくえん)
鵞足とは、股関節から膝の内側にかけて伸びている3つの筋肉(縫工筋、半腱様筋、薄筋)の総称です。
膝の曲げ伸ばしを過度に行うことにより炎症が起きて、膝の内側にズキズキとした痛みを感じます。
膝蓋靭帯炎(しつがいじんたいえん)
太ももを広くおおっている膝蓋靭帯と、大腿骨が擦れて炎症を起こしたものです。
ランニングやジャンプを長時間繰り返すことで発生するため、ジャンパー膝とも呼ばれています。
症状としては、膝の皿の下にうずくような痛みを感じます。
変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)
加齢や筋力低下に伴い、膝関節を支えきれず、軟骨がすり減り、関節が変形することで、膝の内側や外側に炎症や痛みを生じる疾患です。
日本人はO脚が多く、内側の軟骨が減りやすいため、内側型の変形性膝関節症がほとんどです。
起床時の膝のこわばりや鈍痛、階段の上り下りや正座が困難になり、日常生活にも支障をきたします。
ランニングで膝が痛くなったら【予防や対処】
Kinesiotaping, kinesiology. Female athlete with kinesiotape, muscle tape on knee
膝に痛みや違和感などの症状が出たら、まず運動を中止し、安静にしましょう。
まずは、痛みのある部分をアイシングし、炎症を抑えましょう。
膝の怪我は無理して動かして痛みが引くことはありません。
炎症を早く抑えるために超音波治療器などを使用すると効果的です。
早めの受診をお願いします。
運動を再開する際は、膝の曲げ伸ばしで痛み無し、ジャンプして衝撃を加えても痛み無しの場合は徐々に再開して良いでしょう。